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マレーシア インドネシア ドバイ – 私が見たラマダーンの日常

Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。

2021年のラマダーンは、4月13日から始まります。皆さんも、映像でラマダーンの一端を見る機会もあると思います。しかし、日本人がその日常を体験する機会は、まだ多くないでしょう。そこで今回のコラムでは、私が実際に体験したラマダーンの日常風景をご紹介しましょう。

やはり食べたい?ムスリムも私も同じ人間

私が初めてラマダーンを経験したのは、10年程前のドバイです。ラマダーンの初日、現地パートナーの事務所でクリスチャンのスタッフに、「私達はムスリムではないから断食を行う必要なないけれど、他の皆は食べたいのを我慢しているから、見えないところで食べてね。」と言われました。

ラマダーン中のムスリムは日中に唾すらも飲み込まないと聞いていた私は、私と違いとても宗教的な人々なんだと思っていました。しかしこの言葉を聞いて、かれらも私と同じ人間だなと、なぜかホッとした事を覚えています。

静寂に包まれるドバイモール

ラマダーン中のある日、ドバイモールを訪れました。構内でいつもかかってた音楽は止まり、いつも利用しているカフェは閉店し、暗くて静寂に包まれた別世界でした。途中通りかかった邸宅の前に小さなテントが張られ、無償で飲食が振舞われていた事を印象深く覚えています。

みんなで楽しむブカプアサ マレーシア

マレーシアはドバイと異なり、様々な現場でマレーシア人ムスリムが働いています。それはラマダーン中も変わりません。レストランでは、断食をしているムスリムスタッフが、いつも通りに食事を提供しています。「慣れているから平気だよ」とかれらは言いますが、私はすまない気持ちになっていました。

日没後、その日最初の食事(ブカプアサ)を、家族や友人達と楽しみます。上の写真は、私が実際に友人に招待されたブカプアサの時の写真です。手前のテーブルでは、インド系の方も一緒に食事を楽しんでいます。

取引先企業は自社主催のブカプアサに、ビジネス関係者だけでなく近隣の孤児、障碍者、貧困層の人々等を招待していました。この光景を見て、ラマダーンの社会的意義を理解しました。

「なぜ食べないの?」インドネシア

ジャカルタでは、私の友人が自宅に招待してくれました。そこでは親類の女性達が集まり、おしゃべりを楽しみながら夜の会食の料理を作っていました。「美味しいんだから、食べてみて」突然訪問した私に、彼女達は出来たばかりの料理を勧めます。「なぜ食べないの?ほら」と手を付けない私に何度も勧めてきますが、自らは日没まで手を付けることはありませんでした。

座って話をしようと友人とカフェに入ると、私のコーヒーだけを注文し、友人は何も頼みません。私が口を付けないと「喉乾いたでしょう。遠慮しなくていい。断食は神と私の約束だから。」と言って気遣ってくれます。この言葉から、ムスリムの友人達の宗教観を垣間見ました。

ラマダーンは他者との一体感を感じる時間

日本でラマダーンというと断食が注目されますが、現地では皆で宗教的時間を過ごしたり、日没後に友人や親類との会食を楽しみ交流を深めます。多くの喜捨が行われ、社会的弱者支援も行われます。ラマダーンは、断食という行為を通じて宗教的体験を共有し家族や社会との絆を再認識する、有意義な時間のようです。

私はラマダーン中の体験から、ムスリムの友人達の考えや文化をより深く理解することができました。以前の私は多くの日本人と同じように、ムスリム=中東的なエキゾチクなイメージを強く持っていました。しかしラマダーンを実際に体験することにより、ムスリムも日本人も同じ人間なんだなと改めて感じました。

橋本 哲史
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

 
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