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海外進出の契約で特に留意すべき三つのポイント

Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人・JL Connect Malaysiaで日本企業のイスラム市場進出支援を行っている橋本です。

「インドネシア企業、日本企業から総額13億円の契約違反で提訴される」シンガポールの日本語ビジネスサイトAsiaXにこのような記事が掲載されました。残念ながらこのようなトラブルは海外進出では少なくありませんし、海外のみならず国内市場でも発生します。イスラム市場進出支援の現場から見えてきた、日本企業が海外企業との契約に関して注意すべきことを、三つのポイントに絞って考えてみます。

インドネシア企業、日本企業から総額13億円の契約違反で提訴される
2019年に新規株式公開を行ったインドネシア企業、トリニタンメタルズ・アンド・ミネラルズ社(PT TRINITAN METALS AND MINERALS, TBK.)が、13億5,817万円の債務不履行を理由として、日本にて輸出入業を営む白亜通商株式会社から、チビノン地方裁判所に提訴された。

AsiaXから引用

海外企業との契約で留意すべき三つのポイント

商取引において契約を結ぶことは海外でも国内でも変わりはありません。インターネットで検索をかければ、海外進出用の契約書面テンプレートや法的解説記事等を多く見つけることができると思います。実際にイスラム市場進出の現場から見えてきた日本企業が特に留意すべき点は、次の三つです。

1.契約内容

皆さんが国内で契約をする場合を想像してください。国内で日本企業と契約する場合、契約者同志が同じ日本人ですから明確に記載しなくても、常識の範囲内で誤解を生むことが少ないです。また、信義に基づいて契約履行することが期待できます。その為、具体的な数量、価格、期間等の条件は別ですが、それ以外の部分に関してはあまり仔細に言及していない事が多いと思います。

一方で海外企業の場合、私たちとは全く異なる考えを持っています。その為、必要十分な契約内容を明確にしておかないと、のちに誤解が生じて契約十分に履行されない可能性が高まります。

2.言語

海外企業と契約を行う場合、英語で契約することが通常です。しかしながら、英語を母語とする国は、実際には多くありません。英語と日本語と進出市場で使用されている言語間での微妙な意味の違いには、十分に注意する必要があります。それに加えて法律用語は独特の言い回しがあるので、法律用語経験が十分でない翻訳者の場合、適切な翻訳でない可能性もあります。

3.紛争時の裁判所

国内契約書にも、紛争の際に持ち込む裁判所(東京地方裁判所等)は記載されていると思います。この裁判所をどこにするのかは、裁判を進める上で重要です。

例えば、JL Connect Malaysia Sdn Bhdはクアラルンプールが本拠地です。もし日本企業と裁判になり東京地方裁判所で争う場合、当社はクアラルンプールから日本への渡航しなければなりません。その場合渡航費用は当然当社持ちですが、言語・文化的な違いによる不利もこちらが背負わなければなりません。スポーツでもそうですが、地の利のあるホームでの戦いの方が有利に進められます。

事前準備が海外進出成功への道

ここまでお読みになって、海外進出は厄介だなと思われたる方もいるかもしれません。しかし現実に海外市場を見れば、多くの日本企業が海外市場へのチャレンジを行っています。現在マレーシアで法人登記されている日本企業は、3000社程度あるようです。

海外進出でトラブルを避けるためには、事前の備えが必要です。契約書に関しては、誤解を生まない適切な条項と翻訳。市場環境の急変や法律変更によるトラブル等に巻き込まれないように、普段から現地パートナーとの十分なコミュニケーションを怠らない等、様々な対策によってトラブルを防ぐことが可能です。

海外市場進出には国内とは異なる注意点があります。国内市場では考えられないトラブルもあると思います。しかしそれらが克服可能なことは、多くの日本企業の海外での成功が証明しています。

橋本 哲史
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

 
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