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キッコーマン醤油ハラール問題から学ぶハラール市場地域特性

Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。

2017年にUAE政府は、日本製キッコーマン醤油がハラールではないとして使用禁止の通達を出し、大きな話題となりました。なぜなら、当該醤油は10年以上ハラールとして流通していたからです。この問題の背景には、東南アジアと中東のハラール市場の環境の違いが存在します。

Sheikh Zayed Road Dubai

なぜキッコーマン醤油が問題となったのか?

当時UAEには、日本産と東南アジア産の2種類のキッコーマン醤油が輸入されていたようです。この問題が発生した時点で、日本産醤油は10年以上に渡り正規輸入されていました。

経緯

  1. 何らかの理由でキッコーマン醤油が成分検査され、アルコール含有が問題となった。
  2. 成分検査の結果、日本製のみがハラールでないと判定された。
  3. 通達の数時間後には、市中のレストランから当該商品が撤去された。

理由は定かではありませんが成分検査をすることになり、偶然、ハラールでない日本産が広く市中に流通していることが発覚したようです。日本産醤油は約1.5-2.0%のアルコールを含有しており、ハラールではないと考えられています。

東南アジアと中東のハラール市場環境

日本では、ハラール市場やムスリム消費者を一括りに考えがちですが、その特性は異なります。

東南アジアハラール市場

マレーシア、インドネシア、タイ南部等の東南アジアでは、ムスリムと他宗教の信徒の混住が歴史的に行われてきました。そのため市場には、ハラールでない商品が普通に流通しています。購買の際にムスリム消費者は、商品のハラール性について意識する機会も多かったと考えられます。

UAEハラール市場

市中で販売される商品やサービスは、基本的にハラールでなければなりません。一部のホテルや商店等では、外国人向けとしてハラールでない商品の提供が許可されていますが、身近なお店の商品は全てハラールです。

ドバイで日本製食品を販売している日本企業によれば、現地バイヤーから、ハラール性や認証の有無を問われたことはないそうです。ハラールでなければ輸入許可が下りないため、輸入されている時点でハラールと確信できるからのようです。

ハラール認証に馴染みのない中東ムスリム消費者

中東のムスリム消費者は、市場全体がハラールであると確信できるため、購買商品ごとにそれを意識する必要がないのです。そのため、東南アジアのムスリム消費者ように、ハラール認証への認知も深くありません。

この点が、マレーシアやインドネシア等と中東のハラール市場の重要な違いの一つです。海外ハラール市場でのマーケティングを行う際には、このポイントについて、十分に考慮する必要があるでしょう。

参考

UAE bans Japanese Kikkoman soy sauce due to alcohol content

橋本 哲史
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

 
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