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マレーシア進出 誰に相談する? 公的機関有効活用法

Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。

マレーシア市場進出を検討されている日本企業の方から、「JETROやマレーシア政府は当社のために何をしてくれるのか?」という主旨のご相談ご質問を受けます。外部機関からの支援を有効活用することによって、海外進出の成功確率を高める事が可能です。実際にマレーシアで日本企業を支援してきた現場視点から、外部機関の有効活用法について検討します。

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マレーシア進出支援で頼れる公的機関

マレーシア進出を支援してくださる公的機関は、少なくありません。かれらの支援を有効に活用してマレーシア進出を成功させるためには、それぞれの機関の目的や特徴を把握する必要があります。

海外進出支援で頼れる公的機関(日本、マレーシア)

機関
日本日本貿易振興機構(JETRO)
中小機構
国際協力機構(JICA)
地元商工会
経済産業省
農林水産省
マレーシアMIDA
州の投資公社等
マレーシア・ハラールHDC
JAKIM

日本貿易振興機構(JETRO)

マレーシア進出時だけでなく海外でビジネスを行なう際には、まず日本貿易振興機構(JETRO)を活用すべきです。JETROは、経済産業省所轄の独立行政法人です。日本の貿易振興を目的として設立されています。国内48事務所、海外55ヵ国76事務所を有しています。

JETROは何ができないか。

JETROは税金によって運営されているため、個別企業の事業案件に当事者として関わることはできません。例えば、営業代行、通訳・翻訳、契約書作成、特定事業者の紹介等です。また、支援対象の中心は中小企業です。

JETROの有効活用方法

このように、JETROは全ての事業領域を支援してくれるわけではありません。現場支援の経験から、その最も有効な活用方法をご紹介します。

進出国市場情報収集

最も有効な活用方法は、現地事務所を通じた情報収集でしょう。特にビジネスに関する重要な法令変更等に関する情報は、非常に頼りになります。それぞれの国の情報は、ウェブサイトで公開しています。

現地視察、展示会出展支援

現在はパンデミックで休止していますが、現地視察ツアー、展示会出展支援、現地視察の際の現地情報のブリーフィング等のサービスも提供しています。不慣れな国での視察や展示会出展は、非効果的になりがちです。JETROのサービスを活用することにより、現地活動を効果的に行なうことが可能です。

JETROのサービスは、海外進出の初期段階や情報収集に最大の強みがあります。その多くが無償か廉価です。これらを、民間コンサルティング会社に依頼したり自社で行なうと、多額の費用や時間的コストがかかります。そのほかにも、セミナー、実務講座、ハンズオン海外進出支援等も提供しています。

その他日本の公共機関

地元の商工会や地方自治体では、JETRO等から講師を呼び海外進出のための講座等を開いています。経済産業省、農林水産省、JICA等では、それぞれの産業分野向けの海外進出に関する助成金やプログラムを行なっています。海外進出を実施する際には、JETRO以外の公的機関の支援も、同時に確認してください。

マレーシア政府機関

マレーシア政府機関による支援を受ける際に忘れてはならない事は、これらの機関の目的は、マレーシアの経済振興であることです。海外企業への支援は、自国経済や雇用にメリットがある場合のみに限られます。

MIDA(マレーシア投資開発庁)

海外からマレーシアへの投資を振興するための政府機関です。クアラルンプール駅に隣接した場所にオフィスがあり、マレーシア進出に必要な国内情報、法制、税金優遇、必要な行政機関への紹介等を、ワンストップで提供しています。日本国内にも事務所があり、投資セミナー等も実施しています。私がある日本企業の支援で実際に利用した際には、専任の担当者がついて様々な支援をしていただきました。

州の投資公社

州政府は、それぞれに投資公社を持っています。州の投資公社では、その州内への外国企業誘致のために、更に具体的な情報提供等を行なっています。具体的な拠点候補地を決める際には、ぜひ相談すべきです。以前にセランゴール州の投資公社を利用した際には、情報提供だけでなく、実際に工業団地やショッピングモール等をご案内していただきました。

HDC(ハラール産業開発公社)

日本からのハラール産業視察ツアーの多くには、HDCへの訪問が予定に組まれています。実際にご訪問され、セミナーを受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。HDCはMITI(交際貿易産業省)傘下の政府公社で、マレーシアハラール産業とハラール認証制度の振興を目的としています。ハラールパーク(ハラール産業向け工業団地)の認定や統括等も行なっています。HDCでは、ハラール産業全体の情報収集をすることが可能です。

JAKIM(イスラム開発局)

JAKIMは、マレーシアのイスラム教に関連する政府事業全体を統括している省庁です。日本でも良く知られているハラール認証の管轄業務は、その一部でしかありません。ハラール認証を取得する場合には、審査や監査等でお世話になることになります。

民間コンサルタント活用方法

民間コンサルタントは、ここまで述べてきたような公的機関による支援で補えない部分を、補完するために活用することが、最も効果的です。情報収集にとどまらずアドバイスから実際の業務代行まで、企業のニーズに合わせて活用できます。

時間短縮が最大のメリット

その最大のメリットは、成功までの時間短縮でしょう。進出企業の人材、知見、コネクション不足等を補い、事業をスムーズに進めることができます。私の知っているある日本企業では、ある商品の販売許可を自社社員だけで取得しました。そのために、2年以上を費やしました。あるマレーシアのコンサルティング会社によれば、同じ許可を平均6カ月で取得しているとのことでした。

民間コンサルタントのデメリットは、その費用が安くない事です。そのため有効活用するためには、何を支援して欲しいのかを明確にする必要があります。そのため依頼する側は、海外事業の目的、期待する成果、必要な支援等を真剣に検討して、自らがディレクションしなければなりません。

海外進出成功の肝はコミットメント

マレーシアやインドネシアで実際に海外進出を視点した経験から、海外進出で成果をあげている企業には、共通点があるように思います。それは、企業自体のコミットメントの高さと継続性です。イーコマースサイトに掲載しただけで売れた等の話を聞くこともありますが、多くの製品やサービスはそれでは売れません。現地で海外製品の成功事例をみていると、商品や事業への強い愛着を持ち、地道なマーケティングを続けることが、成功の肝であると感じます。

参考

日本貿易振興機構(JETRO)
Malaysia Investment Development Authority(MIDA)
JABATAN KEMAJUAN ISLAM MALAYSIA(JAKIM)
Halal Development Corporation Berhad(HDC)

JL Connect Malaysia SDN BHD / ディレクター 橋本 哲史
Groovy Japan運営会社のマレーシア法人JL Connect (M) SDN BHDのディレクターと、JAKIM戦略パートナー企業のコンサルタントを兼務。
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

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