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マレーシアで消費が盛んな時期はいつ?

こんにちは、Salam Groovy Japan編集部、マレーシア出身のイマンです。
2022年4月1日よりマレーシアは外国人観光客の入国が再開され、改めて日本企業のマレーシア市場進出の歯車が活発化するでしょう。今回は、マレーシアにおけるビジネスに適した時期をご紹介します。

マレーシアは文化のるつぼであり、マレー系、中国系、インド系が主要な3民族となっており、様々な人種が混在しています。私は、ムスリムでもあり、マレー系でもあります。マレー系は独自の文化を持っており、マレーシアの中華系やインド系なども同様です。多様な文化が共存し、異なる民族の文化が混ざり合った新しい文化も生まれてきました。その最たるものが食べ物でしょう。

マレーシアでビジネスをする際に、現地人と円滑なコミュニケーションを図り、市場をより深く理解するために、「多文化・多民族」であることを念頭に置いておくべきだと私は思います。

文化に根ざした消費活動の活発化

祝日は、ショッピングや旅行など、誰もがリラックスして過ごす時期となっています。これはマレーシアでも同じですね。多くの文化や宗教が共存するマレーシアでは、各民族における重要な祭事を祝い、一部は祝日として定められています。

春節(Chinese New Year)

マレーシアのホームセンター「MR.DIY」 の2022年度・CNY広告

「春節」(Chinese New Year=CNY)は通常1月21日から2月21日の間に行われ、伝統的な太陰太陽暦と中国の太陽暦で新しい年の始まりを祝うお祭りです。また、マレーシアでも最大かつ非常に重要な祝日のひとつです。

この祭事に迎え、春節に関わる伝統や食べ物などを頻繁にオンラインで検索するのです。Googleによると、2018年、マレーシア人は春節が始まる5週間前から検索を開始し、春節の週にピークとなります。検索内容は、食品、アパレル、食料品、お祝い情報や金融が圧倒的に多い傾向。
その一方、YouTubeはこの祭事に関連する伝統、活動やお祝いのアイデアを見つけ出す最も人気のプラットフォームの一つであり、多くのマレーシア人がおよそ8週間前から利用しているのです。

マレーシア人は春節期間中にYouTubeの利用が増加(出典:Google

「通常、ショッピングは祭事前の時期にピークを迎え、春節も例外ではありません。今年(2018年)は、春節の前にShopeeのオンライン検索数が急増しました。つまり、消費者がお祝いの買い物にオンラインショッピングを選ぶ傾向が強まっていることがわかるのです」と、Shopee地域統括ディレクターのIan Hoは述べていました。2018年の春節では、「女性服」「モバイル&ガジェット」「おもちゃ」「キッズ&ベビー用品」「女性靴&バッグ」が好成績でした。

Eコマースの利用が増加していることもあり、春節辺りの期間中は商売のチャンスが豊富にあると言えるでしょう。

ラマダン

Samsungマレーシアの「ラマダン・ハリラヤ」広告

ムスリム(イスラム教徒)はマレーシア人口約3,200万人のうち、60%を占めています。イスラームの断食月「ラマダン」の期間中、ムスリムは1ヶ月を通して毎日断食を行います。断食とは言え、食べ物や衣服などの需要が落ちることもなく、むしろ売り上げが伸びたというビジネスも少なくありません。

YouGov RealTime Omnibus 2022の調査によると、ムスリムがラマダンに最も求める商品は「衣類とアパレル」(79%)、次いで「家庭用品」(49%)、「ケア・ビューティー」(49%)を買いたいと回答しています。マレーシアのムスリム達は、ラマダン明けを祝うイード・アル・フィトル(マレーシアでは、「Hari Raya(ハリ・ラヤ)」という)に新しい服を着る習慣があり、ファッションが上位を占めたのは不思議ではないのですね。また、家具などを買い替える人も少なくないので、「家具」30%となっています。

YouGovの調査発表を元にSalam Groovy Japanが作成

ファッション&アパレル:シャツ、パンツ、ヘッドスカーフなど/家庭用品:洗剤、食用油、砂糖など/ケア&ビューティー:スキンケア、ボディローションなど/ファッションアクセサリー:メガネ、帽子、ジュエリー、バッグなど/家具:ソファ、テーブル、カップボードなど/ホビー:裁縫道具、ペット用品、楽器など。

価格集計プラットフォーム「iPrice」は、ラマダン期間中、特にムスリムがサフール(夜明け前の食事)のために起床する時間帯の早朝に、マレーシアのオンラインショッピング利用が増加した、と報告しています。ラマダン期間中の午前5時のオンラインアクセス数は、前月に比べて105%も急増しました。

ラマダンやイード・アル・フィトルにおけるビジネス様子は過去のブログにも紹介しましたので、詳しくは記事文末のリンクより是非お読みください。

ムスリムは異民族の祭事を祝うのか?

写真出典:ニューマンダラー(New Mandala)経由のAmrita Malhi

ご存知のように、マレーシアは多民族・多宗教国家であり、国民のほとんどが異なる文化に囲まれて育ってきました。そこで、それぞれの民族にとって重要な祭事が「祝日」として定められ、宗教や人種に関係なく、マレーシアに住む誰もがお休みとなるのです。
例えば、インド系が祝う「ディーワーリー」はマレーシアでも祝日であり、マレー系や中華系などを含め、現地人全員がお休みです。「春節」・「イード」の際でも同じです。

マレーシア人・ムスリムは異民族の祭事の際にも祝うのか、どう過ごしているのかを探りましょう。
マレーシア民族は実際、マレー系とマレー半島・サバ・サラワクの原住民を含む「ブミプテラ」、「中華系」、「インド系」の3つに大きく分類されています。この3つの大分類に属さない人たちは「その他」に分類。

宗教別に見ると、イスラム教が現在でも主流となっており、人口の約5分の3がイスラム教を信仰しています。マレー系が多数を占めていますが、混血の人達を含め、インド系や中華系などの人達もイスラム教を信仰しています。

イスラム教は多様な文化的伝統や慣習を尊重しており、ムスリムであるからといって、自分の文化的背景を捨てるようなことは決してありません。マレー系以外のムスリムにとっても、自分たちの文化にまつわる行事は、民族的なアイデンティティを表現する重要な機会のではないでしょうか。異なる民族と結婚したマレー系でさえ、配偶者の祭事を祝いますよ。
例えば、春節のテーマで家を飾ったり、家族に訪問したり、アンパオ(お年玉)をあげたりするのです。

そして、中華系のコミュニティー以外の人達が参加するケースも少なくはありません。職場や近所の人が、春節の行事に招待してくれる場合もありますし、ムスリムにイードのプレゼントをあげるように、中華系のご近所さんに春節プレゼントをあげるムスリムもいます。
このように、イスラムの教えに反しない限り、ムスリムでも他民族の祝祭に参加することができます。

もちろん、ムスリムもイスラム教の祭事以外にショッピングはします。日本のゴールデンウィークをイメージすると、祝日があり、洋服や電化製品などを扱う多くのお店が特売やキャンペーンを行うような光景で、春節やイード、ディーワーリーなどのお祭りの時期に、様々なものもセールとなっています。

「ラマダン」のようなイスラム教に関連する時期には、マレー系の私だと、伝統衣装や伝統菓子など、自分の文化や伝統に関連した商品を購入する傾向があります。一方、春節のような時期には、基本的に「ラマダン」とあまり変わりませんが、マレー系における伝統的な要素だけを抜けて、スニーカーやスキンケア品等、いつでも使える商品の方が私のメインターゲットになります。お祝いのために他の民族の友達にプレゼントをあげるとしたら、私はハラール商品をあげますね。

というわけで、民族や宗教に限らず、マレーシアの人達は「文化に根ざしたお祝い」を機に買い物を楽しんでいると思います。そういった時期を狙って、旅行することもあるでしょう。

円滑な取引に注意すべきこと

「ラマダン」はイード・アル・フィトルとは異なり、マレーシア国内においては祝日ではなく、他の月と変わらず普段通りに営業しています。つまり、ラマダン中でも現地人と連絡を取るには特に問題ないということです。

しかし、春節とイード・アル・フィトルはマレーシアの祝日であり、それぞれが2日間です。マレーシアでは、たとえ自分の民族や宗教に関係のない祝日であっても、国民全員が対象となります。すなわち、マレー系の私でも中華系が祝う春節の時期にお休みになるのです。

春節の最初の2日間は、ほとんどの企業、オフィス、店舗が休業。イード・アル・フィトルにも同じでしょうね。中華系が多いイスラム国でありながら、働くマレーシアのムスリムも休暇を取ります。ちなみに、インドネシアも同じ傾向があります。
一方、中華系・インド系などの他民族の人たちも同じく自分の文化・宗教に直接関連していない祝日を迎え、休暇を取ります。

もちろん、一部のサービスは祝日にも営業していたり、ハイブリッド営業していたりする場合もあります。さらに、ほとんどの企業では、その祝日を祝う人を優先し、従業員をローテーションさせる傾向があります。例えば、中華系の社員は春節を先に、マレー系の社員はイード・アル・フィトルを先に休暇取得することが可能です。

とはいえ、こうした時期に現地人と連絡を取るのは難しいことですし、企業や工場を探すのもかなり厳しいではないでしょうか。
そこで、現地人との取引をスムーズに行うよう、祝日2週間前、もしくは1ヶ月前から余裕を持って行動するようにしましょう。

このように、マレーシアでビジネスを展開する際には、多くのマレーシア人がこうした祭事期間中に様々な特別セールや キャンペーン企画を通して、より多く買い物をする傾向が見られます。このような機会を逃さず、有効活用するれば、ビジネスに絶好のチャンスにもなるでしょう。
Salam Groovy Japanでは、マレーシアにも繋がりを持っております。詳細は下記のページをご覧ください。

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「ラマダン」はイスラム市場におけるビジネスの絶好のタイミング


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