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スープ・調味料のエキスパート企業「丸井食品三重工場」がハラールラーメン市場に挑戦

液体、粉末スープの調味料OEMメーカー、有限会社 丸井食品三重工場は、半世紀以上に渡って、味づくりに携わってきたエキスパート企業です。
同社は昨年、粉体ラインでハラール認証を取得し、マレーシアをはじめとする東南アジアなど、イスラム市場で需要の高まる日本のラーメンやうどん、そばなど麺類向け調味料への提供体制を強化しています。

今回、専務取締役 西山典孝氏にインタビューをおこなう機会を得て、ハラール製品の開発経緯と今後の展望についてうかがいました。西山専務は来期にも代表取締役への就任が予定されています。

創業当時の様子

55期目を迎える丸井食品三重工場は当初、学校給食や業務用の調味料の製造にはじまり、ラーメンスープや、だしパックを主力製品として取り扱っていました。
そして10年ほど前に、取引先からの依頼を受けたことを機に、グルテンフリーのスープを開発。製品化をおこなう中で、アレルギーや原料管理を徹底する必要があり、そこで蓄積されたノウハウを元に、7年前からヴィーガン製品を手掛けました。2021年5月には日本アジアハラール協会(NAHA)のハラール認証を取得し、本格的にハラール製品の開発へ乗り出しています。

認証取得したのは折しもCOVID-19パンデミック禍の最中。外国人観光客によるインバウンド需要は見込めません。ハラール需要に期待を寄せていた国内事業者の多くは痛手をこうむりました。

納品先の製品事例

しかし西山専務によると、同社にとっては好機だったと振り返ります。というのも、総合ディスカウントストアの雄である、あのドン・キホーテが、マレーシア進出を加速させていたことがその背景にあります。製麺各社は、ドン・キホーテの強力な販売チャネルを通じて、現地で人気の高い日本式ラーメンの開発に乗り出しました。イスラム市場の広がる商圏だけに、スープなどのハラール調味料に強みを持つ同社に対して、OEM生産の依頼が増えるという流れになったのです。

同社は元々、小規模ながらもイスラムの受刑者専用に調味料製造の経験を持っていました。当時の釜などの設備を使えば、ハラームに触れることなく製造ができるため、ハラール認証の取得自体はそう高いハードルではなかったのです。むしろOEM生産の依頼が増え、開発する製品の種類が一気に増えたことで、それらのハラール性を担保する徹底した管理体制の維持が目下の課題となっています。

ハラール性を担保する工場内の一例

「ムスリムの方々に安心して口にして頂ける」
そのためには、1次、2次原料に遡ってハラール性が担保できているのか、新たな原料を使用するたび仕入先に確認を取り、証明書を出してもらうなどの対応が必要になります。
そして、使用する調理機材はもちろん、それら原料の置き場や原料運搬用の台車、掃除用の道具に至るまで、製品完成までの全工程において、ハラール専用のものを色分けするなど、徹底的に意図しない原料の混入(コンタミネーション)が発生しない体制を敷いています。

スープの開発風景

様々な料理の味を決める要素として欠かせないのが調味料です。あまり表に名前が出ることはありませんが、調味料メーカーは食品業界の黒子企業として、確固たる存在感を放っています。
そして調味料メーカーとして重要なのは、クライアントである製麺各社のイメージする「味」を如何にして形にするのかという点です。製品のブランディングにもかかわります。加えて何よりももちろん、ハラール製品であるため、使用できる原料に制限があります。

西山専務によると、「日本企業がマレーシアをはじめとした東南アジア市場においてヒットすると予想しているラーメンの多くは、辛くて、味がしっかりしているものです」「そのためか、豚骨スープをイメージした依頼が多い」とのこと。
豚由来など決して使えない原料の代わりに、ポルチーニ茸の香りや、白濁感を米麹を使うことで、あの独特なスープを再現。名称も「クリーミーラーメン」として提案しています。

西山専務は、「元々ハラール事業は1,2年で結果を出すような考えはありません。グルテンフリー、ヴィーガンの各事業と共に、5年・10年といった中長期の事業計画を打ち立てた中に入っていたものです」とし、イスラム圏への輸出を重点課題としたビジョンを語りました。

<企業概要>
会社名:有限会社 丸井食品三重工場
本社所在地:〒515-0045 三重県松阪市駅部田町457-34
事業内容:液体、粉末の業務用、個包装を主体とした調味料、スープ、たれの製造販売
公式サイト:有限会社 丸井食品三重工場


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