プレミアムフードショーで考えたハラール市場の今後
Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
4月21日から23日まで東京ビックサイトで開催されたプレミアムフードショー東京2021に、出展者として参加しました。この展示会では、ハラールマーケットフェア、ベジタリアンフードゾーン、グルテンフリーコーナー、オーガニックフードEXPOが併設され、日本の食の多様性を代表する多くの企業が集いました。
拡大するベジタリアン市場
プレミアムフードショーのそれぞれのコーナーに実際に食品を出展した企業数を、比較してみましょう。
ハラールマーケットフェア | 20社 |
ベジタリアンフードゾーン | 20社 |
オーガニックフードEXPO | 17社 |
グルテンフリーゾーン | 3社 |
出展企業数では、ハラールとベジタリアンフードゾーンが同数となっています。数年前までは、ハラール産業に特化した展示会が、幕張メッセ等の大型会場で単独開催されていました。それと比較すると、市場での食の多様性のトレンドは、ビーガンやオーガニック等のベジタリアンフードになってきていると感じます。
ベジタリアンフードゾーンには、大手企業も参加していました。展示されている商品やサービスは、店頭販売していない業務用や試作品も多くみられました。各社とも、今後のビジネスチャンスを探っている状況と感じました。これは、初期のハラール産業展示会に似ています。
日本ハラール食品市場の大きな変化
このような状況を見て、日本のハラール市場が衰退しているのでは、と感じていた参加者も多かったのではないでしょうか。しかしながら、近年の日本ハラール食品市場を取り巻く環境は、大きく変化しています。
ハラール食品や情報の入手性が向上
今年の最大の環境変化は、コロナによるインバウンド市場の縮小です。それは国内ハラール市場の大きな部分ですから、市場縮縮小の影響は甚大です。在日ムスリム消費者側にも、大きな環境変化も起こっています。それは、ハラール食品や情報の入手性が、各段に向上しているのです。
在日ムスリムの方によれば、少し前まで、日本でハラール食品を探すことは非常に難しかったそうです。近年のインバウンドの活況に伴い、多くのハラールレストランがオープンしました。現在都市部では、ハラール食品を探すことは難しい事ではありません。同時に、在日ムスリムの日本食品への理解の拡大や企業から原材料等の情報開示が進んだことから、かれらが手に取る日本食品も豊富になってきました。
拡大するムスリムの食の選択肢
ムスリムの食の選択は、動物性原材料やアルコールへの忌避ができれば、非常に広いものです。それは、ハラール認証がついていることを意味しているわけではありません。在日ムスリム自身が、その食品は「ハラール」であると確信できれば、何でも食べられるのです。
近年のハラール食品市場を取り巻く環境変化は、製造企業とムスリム消費者に変化をもたらしています。製造企業側から見れば、ムスリムによる商品利用機会が拡大してきました。ムスリム消費者側から見れば、企業側のハラール対応や情報公開の進展によって、食の選択肢が拡大しています。
このような視点から日本ハラール食品市場をとらえてみると、そこにおけるビジネスチャンスは、拡大していると言えるのではないでしょうか。
参考
プレミアム・フードショー (premiumfoodshow.jp)
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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