日本で夢の実現を目指すマレーシア出身のムスリム女性
海外で暮らす方は、仕事や勉強のほか、文化的な理解や、自己発見など、様々な目的・夢を持っています。
マレーシア出身のヌールさんは、どんな夢を抱いて日本で暮らしているのでしょうか?
日本への思い
ヌールさんの信念は「もし何かに情熱を持っているのならば、願うのではなく、それをただ実行するのみ。自信を持って夢に向かって進もう」というもの。彼女にとっての幸せとは、意味のある人生を送ることです。ヌールさんは信念通り、夢の実現に向けて、日本で暮らしています。
兄弟が日本語を勉強していたこともあり、ヌールさんは日本の言葉と文化が大好きでした。彼女は日本のドラマが好きで、幼い頃から美しい日本語の響きに心を震わせていました。
そしてマレーシアの医療系の大学を卒業した後、大好きな日本で医療の勉強をすることを決めたのです。
日本に向かうことを決めてからは、インターネット、教育フェア、先輩など、あらゆる手段を用いて、日本語センターや奨学金などを探し、準備が整った2019年、ヌールさんは日本へと旅立ちました。
日本での生活
日本でムスリムとして生活することは、多くの人が考える通り、困難なことがあります。非イスラム国である日本において、ハラール食品の入手や外出時のお祈りの場所の確保は難しいもの。しかし、それはヌールさんにとっては大きな問題ではないといいます。
ヌールさんは、大阪で学生生活を送ったマレーシア人から、ムスリムが日本で生活するためのコツやノウハウを教わりました。
ヌールさんが暮らす大阪では、混雑していない場所でお祈りができ、ハラール食の入手も容易。彼女は自炊中心の生活をしており、食には苦労していないのだそうです。
ヌールさんは、大阪に来た当初、学校で日本語を学びながら、ジャパンダアワーセンター(JDC)でボランティア活動をしていました。
JDCは、イスラム教に関する正しい情報を日本語で提供する場所です。また、日本の人々がムスリムのコミュニティと交わる場所でもあります。
JDCでの事務作業やイベント運営に携わる中で得たのは、日本人との文化的な交流や新しい出会い。日本で暮らす日々は、彼女の日本への愛をさらに深めていきました。
医師と患者の架け橋となるために
ヌールさんは、地域社会に貢献することが人生の重要な要素であると考えています。ムスリムとして、人々を幸せにすることで、アッラーから与えられるのが幸せと平穏。そして、「ディーン」*を守ることで、アッラーが必要とすることをすべて満たし、想像もしなかったような方法で助けて下さるのだと信じています。
*ディーン:イスラム教では、ムスリムが神(アッラー)の法に従うために採らなければならない生き方を指す言葉で、信念、性格、行動を含む。
これは、アッラーがイスラム教の聖書「コーラン」でしてくださった約束。ムハンマドの章7節で、アッラーは次のように述べています。
「信仰する者よ,あなたがたがアッラーに助力すれば,かれはあなたがたを助けられ,その足場を堅固にされる。」(聖コーラン 47:7)
さらに、彼女はお気に入りの言葉を紹介してくれました。
「幸せはゴールではなく、それはよく生きた人生の副産物なのだ。」
ヌールさんはこの言葉を胸に、自分の医学的知識と日本語能力を生かして、日本に住む外国人コミュニティに貢献したいと考えています。
外国人が、医療機関に行くのをためらう理由の一つが、日本語の医療用語が理解できないこと。ヌールさんは、医師と患者の間にある言葉の問題を解決するため、役に立ちたいと考えています。自らの医療の専門知識と日本語を生かし、日本で暮らす外国人を助けたいと、勉強を続けているのです。
ヌールさんの現在の職場は、イスラム教徒向けの学校。友人の推薦で、子供たちに英語、日本語、イスラム教の価値観を教える教育者として働いています。将来は、日本で仕事をしながら医学の勉強をしたいと考えているのです。
海外で実現したい夢がある方へ
最後に、夢を実現したい皆さんに、ヌールさんからのメッセージをご紹介します。
「海外で生活を始めることは、不安や恐怖を感じることがあります。しかし、自信を持って、自分が情熱を持って取り組めることをすればいいのです。
金銭的な問題には、インターネットを活用してください。日本の文部科学省を始め、マレーシア政府や日本政府が提供する多くの奨学金制度について調べることができます。日本企業の中には、日本で勉強を続けたい人のために奨学金を提供しているところもあるんですよ。
自分が満足できるよう行動すれば、全てが報われるはずです。」
インタビューにご協力いただいたヌールさん、ありがとうございます。
Salam Groovy Japanは、ヌールさんの活躍を心からお祈りしています。彼女の願いが全て叶いますように!
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