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人口増加 インドネシアのタンパク質不足を救う、日本のゲノム編集技術

ゲノム編集技術等を活用した新品種の開発を行い、種苗の生産・販売などを手掛けているリージョナルフィッシュ株式会社が、インドネシアにおける水産物のゲノム変種育種実証事業をおこなうと発表しました。

同社は、インドネシアの水産系スタートアップ企業、PT Aruna Jaya Nuswantara(以下、「ARUNA」)と共に、日本貿易振興機構(JETRO)の運営する「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択されており、2024年1月までに約2,000万円の助成を受けることが決定しています。助成金は、インドネシアにおけるゲノム編集育種の実証と、ゲノム編集食品に係るルール整備を進め、本格的な海外展開に向けて使用されます。

世界人口の増加とタンパク質クライシス

日本国内では急速な人口減少が社会問題となっており、2022年4月に総務省統計局によって発表されたデータによれば、前年比で64万人以上の人口減となっています。

一方、地球規模で人口の変化を見渡してみましょう。国連は7月、世界の人口が11月15日に80億人を突破すると発表しました。2030年には85億人、2050年に97億人、2080年代に104億人に達することが予測されています。

人口の増加と中間所得層の拡大に伴う一人あたりタンパク質消費量の増加を背景に、タンパク質の需要が急増するとみられています。2025-30年には需要が供給を上回り、世界的なタンパク質不足に陥り、「タンパク質クライシス」が現実のものになるという見立てがあります。

インドネシアを例にすると、世界4位となる人口約2.7億人超を擁する大国であり、こうしたタンパク質の不足は深刻な社会課題の1つとなります。

リージョナルフィッシュのゲノム変種育種実証事業

リージョナルフィッシュ社は、これまで「可食部増量マダイ」や「高成長トラフグ」の開発に成功したことで、一躍脚光を浴びています。

ちなみに可食部増量マダイについては、日本の厚生労働省と農林水産省への届出がおこなわれており、国の手続を経て上市する世界で初めてのゲノム編集された動物食品としても知られています。



特定ゲノムの場所をピンポイントでハサミのように切断する「クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)」というゲノム編集の手法が利用されました。この手法を開発したフランス人とアメリカ人の開発者2名には、2020年にノーベル化学賞が贈られています。

自然界に存在しない生物を創り出す遺伝子組み替えと違って、元々あった遺伝子の一部を変化させたものなので、「品種改良」と同じ仕組みとされます。自然界で何世代もの交配を重ねておこなわれている突然変異(mutation evolution)のプロセスを短縮することで実現しています。

今回発表のあった取り組みでは、以下の実証対象品種を掲げ、ゲノム編集育種を活用することで、インドネシアにおける有用な品種を短期間で開発することを目指すことが示されています。

  1. Tilapiaの高成長
  2. Red Snapperの可食部増量

関連記事:
世界初、ゲノム編集で肉厚になったマダイが販売開始(Salam Groovy Japan英語サイトの和訳)


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