ドンキ出店地から読み解くクアラルンプールの地域特性
Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
前回のコラムでも少し触れましたが、ドンキのクアラルンプール出店が話題となっています。1店舗目はクアラルンプールの中心部、2店舗目は郊外の住宅地に隣接したエリアです。この2つの地域は、背景となる消費者特性が全く異なります。今回のコラムでは、ドンキの2つの出店地から、クアラルンプールでの地域特性について検討します。
2つのドンキ出店地
ドンキの2つの出店地域は、全く異なる特性を持っています。東京で言ったら、繁華街(六本木+渋谷+秋葉原のイメージ)と住宅地(世田谷、杉並、中野区のイメージ)でしょうか。
ブキットビンタン(観光地)
1店舗目は、日本でも有名なブキットビンタン地域にあります。Isetan Japan Storeがあることでも知られています。このエリアは、昔からの繁華街です。近年では、有名ショッピングモール、高級ホテル、KLCC等へのアクセスが良い事から、観光客で賑わっています。渋滞が多く駐車場確保が難しいため、車移動が基本の現地消費者の足は、以前より遠のいてしまっているようです。2年ほど前に鉄道駅が開業したため、現地消費者の集客力回復が期待されます。
クタダマンサラ(住宅地)
2店舗目の出店予定地は、クアラルンプール地域の西側にある、中間層や富裕層の住宅地に隣接した商業地域です。鉄道駅に接続した新しいコンドミニアムの低層階の小規模モールで、反対側のエリアは中華系消費者を中心に非常に賑わっています。近隣地域には、1Utama Shopping center等の大規模モールがいくつかあります。車でのアクセスも良く、遠方から車で来る消費者も呼べる地域です。
購買力×嗜好×家族・年齢構成
クアラルンプール近隣地域を消費者特性によって俯瞰すると、次の3つの要素によって大まかに分類できるでしょう。
購買力(階層)
日本では、一部地域を除いて地域住民の収入が可視化されることは多くありません。マレーシアやインドネシアでは、住宅地全体が壁に囲まれていたりゲートで外部からのアクセスを制限している区画等もあり、地域の収入レベルがある程度わかります。
嗜好(人種)
マレーシアは、3民族(マレー系、中華系、インド系)を中心に構成されています。一部を除いて制限があるわけではありませんが、同じ人種が集住する傾向にあるようです。
家族・年齢構成(新旧)
クアラルンプールは発展に伴って、市内中心部→西側地域→KLIA国際空港方面へと、商業地や住宅地が拡大しています。地域の設立された時期によって、地域全体の家族構成や年齢構成の傾向が異なります。
クアラルンプール出店では地域消費者特性に注目すべき
このように2つのドンキは、全く異なる背景地域に出店します。日本と同様の品ぞろえ+日本食品販売するのであれば、観光客と中華系富裕層中心地域の選択は、日本製品との親和性の点からも、理に適っていると言えそうです。
クアラルンプールのそれぞれの地域は、購買力、嗜好、構成の傾向がそれぞれ異なっています。これから出店を考えている方は、出店地域の消費者特性を十分に検討すべきです。
参考
首都中心部に1号店開業 ドンキ、3年間で11店舗展開へ – NNA ASIA・マレーシア・小売り・卸売り
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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