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「このお店はハラールではない」なぜこの寿司チェーンは告発されたのか?

Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。

クアラルンプールにある地元系寿司チェーンが、豚肉を提供したとの告発にSNS上で反論したとの記事が、地元ウェブメディアに掲載されました。このような事例は、マレーシアやインドネシアのマクドナルド等の外国系飲食店で、たびたび発生しているようです。このような告発は、なぜ起こるのでしょうか?

クアラルンプールの寿司人気

今回SNS上で告発されたSushi Jiroは、クアラルンプールに11店舗を展開する地元系回転寿司チェーンです。寿司だけでなくチャーハンやラーメンも提供している、東南アジアでは典型的な回転寿司店です。ハラール認証は取得していませんが、地元のムスリム消費者で賑わっているようです。

マレーシアのショッピングモール等に入っている飲食店では、ハラール認証を取得していなくても、ハラールなメニューのみを提供するお店が一般的です。そうでない飲食店は、「No Halal」等の表示を明確にしています。

マレーシア寿司店の三形態

マレーシアの寿司店には、ハラールに関して三つの営業形態が想定できます。
 

ハラール認証あり:豚肉・アルコール提供なし

ハラール認証を取得していますので、豚肉やアルコールは提供できません。その多くは、フランチャイズレストランや高級店です。
 

ハラール認証なし:豚肉・アルコール提供なし

マレーシアでは、飲食店のハラール認証取得義務はありません。ムスリム経営の小規模飲食店の多くが、これに該当します。
 

ハラール認証なし:豚肉・アルコール提供あり

豚肉やアルコールを提供している日本食を含めた外国料理店、中華系飲食店、バー等が、これに当てはまります。ビールやとんかつ等を提供している日本食飲食店等は、これに該当します。
 

寿司店は本当に豚肉を提供したのか?

記事によれば、店舗スタッフが豚肉を提供していると告発者が聞いたと主張しています。それが真実でなかったとしても、このような告発が起こる可能性は、マレーシアやインドネシアの外国系飲食店ではゼロではありません。

メニューの違い

多くのムスリム消費者にとって、日本食は身近なメニューではありません。そのため料理を外見からだけでは、豚肉使用の判断が難しいのです。

不十分な従業員教育

レストランがハラール認証を取得するには、ハラールに関する従業員教育が必須です。この寿司店は、認証を取得していませんでした。従業員のハラールに関する知識が、十分でなかったのかもしれません。

マレー系と中華系では、学校や普段の生活エリアが異なります。中華系マレーシア人には、ハラールに関する知見が十分にない人も見受けられます。もしこの飲食店の店員が「豚肉を提供している」との発言したのなら、それがムスリム消費者に与える影響について、十分に考慮できなかったのかもしれません。
 

SNS上の風評被害には留意すべき

私のスマホには、マレーシアの友人達から「○○は本当はハラールではない」とする噂話が、年に数回送られてきます。そのほとんどが、既にSNS上で拡散している物です。間違った噂話が、何年経ってもSNS上で拡散し続けられているのです。

この記事によれば、告発者は今回の投稿を削除したようですが、すでにSNS上で拡散してしまった後だそうです。マレーシアで飲食や食品関係の事業を検討されている方は、このようなリスクも考慮に入れた、スタッフ教育やユーザーコミュニケーションを考える必要があるでしょう。

参考

橋本 哲史
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

 
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