【2019年】世界イスラム市場の概況
Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
Dubai Islamic Economy Development Centerによって支援されたDinarstandardが、2019年度の世界イスラム市場の状況に関する報告書を公開しました。この報告書をベースに、最新の世界と東南アジアのハラール市場について概観します。
世界のムスリム人口
2019年のムスリム人口は約19億人となり、世界人口の24.9%を占めています。2030年には22億人(26.4%)、2050年には27億人になると予測されています。
世界ハラール市場規模
2019年度に、食品、医薬品、化粧品、ファッション、旅行、メディア及びリクリエーションの分野でムスリムが消費した金額は、合計で約223兆5736億円(約2兆200億米ドル)、2018年からの成長率が3.2%となりました。
産業分野別市場規模
産業分野別消費金額
産業 | 日本円 | 米ドル |
飲食料品 | 約129兆4,600億円 | 約1兆1,700億米ドル |
ファッション | 約30兆6,500億円 | 約2,770億米ドル |
メディア・リクリエーション | 約24兆5,643億円 | 約2,220億米ドル |
旅行 | 約21兆4,661億円 | 約1,940億米ドル |
医薬品 | 約10兆4,011億円 | 約940億米ドル |
化粧品 | 約7兆6,000億円 | 約660億米ドル |
地域別市場規模
地域別消費金額
地域 | 日本円 | 米ドル |
アジア・太平洋 | 約177兆880億円 | 約1兆6,000億米ドル |
中東・北アフリカ | 約88兆5440億円 | 約8,000億米ドル |
ヨーロッパ・アジア大陸 | 約33兆2040億円 | 約3,000億米ドル |
北米 | 約22兆1400億円 | 約 2,000億米ドル |
サハラ砂漠より南 | 約22兆1400億円 | 約 2,000億米ドル |
インドネシア市場
インドネシア産業別消費金額
産業 | 産業別 消費金額順位 | 日本円 | 米ドル |
飲食料品 | 1位 | 約15兆9,379億円 | 約1,440億米ドル |
ファッション | 5位 | 約1兆7,708億円 | 約160億米ドル |
メディア ・リクリエーション | 3位 | 約2兆4,349億円 | 約220億米ドル |
旅行 | 5位 | 約1兆2,396億円 | 約112億米ドル |
医薬品 | 4位 | 約5,976億円 | 約54億米ドル |
化粧品 | 2位 | 約4,427億円 | 約40億米ドル |
日本でハラール市場が注目され始めた2010年頃には、中東が最も注目されているハラール市場でした。世界最大のムスリム人口を有するインドネシアは、近年の政治的安定とそれに伴う経済成長と世界最大のムスリム人口で、最も注目すべきハラール市場に成長したと言えるでしょう。
マレーシア市場
マレーシアは、世界のハラール市場の中で、国を挙げたビジネス戦略で独自のポジションを獲得しています。その1つがイスラム金融です。約63兆1,429億円(約5,705億米ドル)のイスラム金融資産を保有し、その額は、イラン、サウジアラビアに匹敵しています。
ハラールツーリズムの分野では、年間4800万人のムスリム旅行者がマレーシアを訪れ、ハラールツーリズムのディスティネーションとして、世界第5位となっています。
パンデミックからの回復
世界ハラール市場に対する2020年のCOVIT-19のパンデミックの影響は、旅行業以外の産業では、大きくはありませんでした。多くの産業分野で、パンデミック以前の2019年水準に戻る時期は、2021年末と予測されています。
最も大きな影響を受けたハラールツーリズムは、2020年には2019年の約三割にまで減少しました。これが以前の水準まで回復には、2023年頃までかかると予測されています。2019年よりサウジアラビアは、外国人のメッカ巡礼を受け入れてきませんでした。そのため多くのムスリムは、巡礼を延期しています。私の友人達も、その再開を心待ちにしています。日本へのムスリム訪日インバウンドの本格的回復は、その後になるかも知れません。
参考
Global Islamic Economy Report 2020
The Boom of Halal Economy (閲覧には会員登録が必要)
Groovy Japan運営会社のマレーシア法人JL Connect (M) SDN BHDのディレクターと、JAKIM戦略パートナー企業のコンサルタントを兼務。
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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