インドネシア、ラマダン期間中の現金・非現金取引量の変化について
ラマダンとイード・アル=フィトルは、一般の消費者が最も多く消費する時期です。2022年のラマダン・イードは、ポストコロナの回復とともに、ショッピングや旅行などの活動が活発化し、インドネシア経済を促進させるようになりました。
イード・アル=フィトルは、断食月のラマダンが終了後のお祝いで、一般的に日本のお盆のように、実家に帰り、家族そろってお祝いをします。今年は、インドネシア政府によるコロナ禍の移動規制(Pemberlakuan Pembatasan Kegiatan Masyarakat/PPKM)が緩和され、ラマダンの時期と重なったため、観光旅行や実家へ戻る人が増えました。
また、インドネシア中央銀行(BI)は、人々がショッピングや帰郷・旅行等の活動に向けて積極的に支出したことにより、2022年度のラマダン・イード・アル=フィトル期間中に、現金および非現金の決済取引が急増したと指摘しています。
現金引き出しは、154.5兆ルピア(=約1兆3,400億円)から180.2兆ルピア(=約1兆5,600億円)を記録した2021年と比較して16.6%伸びました(前期比)。BIの常務取締役、コミュニケーション部のErwin Haryono氏は、2022年度のラマダン・イードの現金引き出しの伸びが、2019年5月に9.21%(前年比)にとどまったパンデミック前よりも高くなったことを明らかにしました。
実際、2022年のラマダンにおける取引は、宗教休暇手当(THR)※1の支払いを行う企業が多いこともあり、2022年4月27日まで、特に現金の引き出しがかなり多くなりました。
加えて、ラマダン・イード期間中に一般消費者の消費活動が活発になるにつれ、Eコマースプラットフォームにおける取引も盛んになりました。インドネシア電子商取引協会(idEA)は、今年のラマダーナン・イードの期間にeコマース・プラットフォームを通じた取引の総額が、2021年と比べ、38.43%伸びたと報告しています。
この成長はTHRの影響もあり、eコマースプラットフォームで行われるラマダンのキャンペーンや おもしろい機能などもその要因となっています。
スナップカートの調査「ラマダン期間中の消費者のオンラインショッピング行動」によると、77%の消費者が、ラマダンやイード=アル・フィトルを迎えるまでの準備期間に家族や個人のニーズに合わせて買い物をする際、「Shopee」 が最も印象的な選択肢だったと主張していることがわかりました。その次に、「Tokopedia」(18%)、「Lazada」(4%)が続いています。
購入商品のカテゴリー別では、「ファッション・アクセサリー」が相変わらず上位を占め、ラマダンのサフール※2や イフタール※3に備える「食品・飲料」がその次となっています。
※1 Tunjangan Hari Raya (THR)は、インドネシアの労働者の所得権である年間労働手当で、宗教休暇手当とも呼ばれています。企業は年に一度、 従業員にお金の形で、彼らの宗教における最長の宗教的祭日の前に提供することが義務付けられています。対象となるのは、ムスリム労働者のイード・アルフィトル、カトリック・プロテスタント労働者のクリスマス、ヒンドゥー労働者のニュピ、仏教労働者のウェーサーカ祭、儒教労働者の旧正月です。
※2 サフール:ムスリムが断食の前に早朝に食べる食事のこと。
※3 イフタール:ラマダン中、日中の断食を終え、最初に食べる食事のこと。
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