ハラール認証取得「富山ブラック」ラーメン、世界へ/麺家いろは
日本一を何度も獲得し、海外にも店舗展開する有名ラーメン店「麺家いろは」が、ハラールラーメンを開発。マレーシアやシンガポールで販売を開始しています。ご当地ラーメン「富山ブラック」誕生のいきさつや、ハラールラーメン開発の経緯などを、栗原清 代表取締役社長にうかがいました。
起業前、私は運送会社で役員をしておりました。全国に出張する度に、ご当地の有名ラーメン店を食べ歩いていました。単なるラーメン好きだった私が、ラーメンを仕事にしようと思い立ち、開店したのが「麺家いろは」です。
修行もせず、自分の感覚だけで作り上げたのが、後に「富山ブラック」と呼ばれる、黒いラーメンでした。今考えると無謀な挑戦だったと思います。
綺麗に澄んだ支那そばを作るつもりが、煮込んでいたらスープが黒くなってしまったのです。しかし、味はマイルドで非常においしい。店で提供してみたところ、見た目の珍しさも相まって、行列ができるほどの人気店になりました。
その人気が富山県の観光物産品担当の方の目に留まり、ご当地ラーメンとして売り出そうと、物産展へ頻繁にお声がけいただくようになりました。富山ブラックの土産品を開発したところ、担当の方が非常に力を入れてくださり、発売当初から、県内のサービスエリアをはじめ、駅、空港、道の駅など、あらゆるところで販売されることになりました。
全国で開催されるラーメンイベントに出店するなど、徐々に知名度を上げる中で、転機となったのが2009年に開催された「第1回 東京ラーメンショー」です。
売上第1位を獲得したことで、一気に注目を浴びました。「東京ラーメンショー」は、日本最大級のラーメンイベント。以降4年連続で1位を獲得し、メディアでの露出も劇的に増え、ご当地ラーメンとしての確固たる地位を確立しました。
「富山ブラック」は、皆様の応援があって出来上がったブランドだと思っています。
最盛期には海外に19店舗を展開していましたが、コロナ禍で閉店が続き、現在は6店舗となりました。感染症の収束が見えてきたことから、バンコクで新店が開店するなど、明るい兆しが見えてきています。
初めてハラールに関わったのは2013年、インドネシアのプラザスナヤンで行われた「料理の鉄人」イベントです。私はラーメンの鉄人として参加し、四川料理の料理人である陳建一さんとコラボしたラーメンを提供することになりました。
富山ブラックを四川風に辛くアレンジしたラーメンをイメージしていましたが、インドネシアでは豚肉を食べられない人が多いと現地で聞き、慌てふためきました。富山ブラックは、スープ・具材に豚肉を使っていましたし、調味料や麺にも微量ですがアルコールが添加されています。
ハラール食材というものがあると聞き、ハラール食材を使って何とか富山ブラックを再現するべく奮闘。イベントでは「ムスリムフレンドリー」な四川風富山ブラックを提供することができたのです。
ハラールに対応した日本のラーメンとして、現地のメディアでもご紹介いただきました。
2018年の東京ラーメンショーに、ムスリムの方が安心して食べられる富山ブラックを開発し、出品しました。この時は、順位を競うのではなく、ラーメン業界に新しい風を吹き込みたいと考えて参加したのです。
イベント期間中は、メディアでの紹介を見た多くのムスリムが来場。これまでのラーメンイベントには見られなかった光景でした。
その後、イベント単体での出品ではなく、腰を据えてハラールラーメンを開発しようと考え、2021年11月に日本アジアハラール協会の認証を取得した2種類のハラール生麺を完成させました。
マレーシアとシンガポールで販売を開始しており、その他も引き合いをいただいています。まずは東南アジアに販路を拡大し、いずれは中東でも販売していきたいと考えています。
国内でもハラール食品店やスーパー、一部のコンビニなどで、徐々に取り扱っていただけるようになってきました。2022年3月には、新商品の「ビーガン&ハラル スパイスカレーらーめん」も発売開始しています。
まだまだ発売したばかり。実際に販売を始めたことで、お客様や業者さんからの声を聞くことで、新たな改善点も見えてきました。ラーメンとしてのクオリティには自信がありますが、消費期限がネックになっていました。
発売当初は3ヶ月だった消費期限を6ヶ月まで延ばしましたが、輸出商品としてはまだ短い。さらなる長期保存化に向けて開発を進めていきたいと思います。
<企業概要>
事業者名:株式会社天高く
本社所在地:〒939-0351 富山県射水市戸破1555-1
事業内容:らーめん店経営、中華麺の製造、通信販売、イベント出展、海外フランチャイズ事業
公式サイト:麺家いろは
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