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世界のムスリムに日本製ハラールラーメンを届けたい/岩清

岩清は、創業から190年の歴史を持つ老舗水産加工会社です。同社がイスラム市場への輸出を念頭に置いたハラール鯖ラーメンを開発したと聞き、新商品誕生の経緯などについて、岩崎智子取締役にお話をうかがいました。

弊社は1832年に創業し、静岡県の焼津で水産加工業を営んでおります。現在の主力商品は、鯖寿司に使われる塩鯖。私は7代目に当たりまして、7年ほど前に家業を継ぐため静岡に戻り、現在は商品開発や事業計画を担当しています。

ムスリムの方々との交流会に参加した際に、非常に驚いたことがありました。多くのムスリムから「ラーメンを食べたことがない」と聞いたのです。ラーメンは、日本の国民食とも言える存在。私自身がラーメン好きだったこともあり、こんなにおいしいものが食べられない方がいると初めて知り、衝撃を受けました。
あるムスリムの留学生に至っては、「食べたことはありません。でも、ラーメン屋さんの前を通るたびに、おいしそうな匂いを嗅ぐのが楽しみなんです」と話してくれました。
このことがきっかけで、『ムスリムも食べられるおいしいラーメンを開発しよう』と決意したのです。

外国人にお勧めするラーメンといえば、真っ先に思い浮かぶのは、こってりした豚骨系ですが、豚を使っているので、ムスリムはもちろん食べられません。しかし、昔ながらの中華そばのように、鶏がら出汁を使ったラーメンもありますから、豚やアルコール抜きでも、おいしいラーメンを作る事ができるはずだと考えました。

そこで、まず最初に開発したのが、ハラールチキンをベースにしたラーメン。目標だった『ムスリムも食べられるおいしいラーメン』はできましたが、国内の畜肉を使った商品は輸出ができないのです。そのため、完成したハラールチキンラーメンは、在日・在留ムスリム向けに店舗限定で販売するのみで、それ以上の拡販には至りませんでした。

チキンに代わる原料候補を改めて検討し、弊社が創業以来ずっと主力商材としてきた魚にフォーカスを当てました。ちょうどその頃、サウジアラビアが掲げる新たな経済改革構想「サウジ・ビジョン2030」関連のイベントが開かれ、事業継承問題に関するスピーカーとして参加する機会を得ました。

サウジアラビア政府関係者に意見を伺ったところ、「魚はハラールですし、石油産業が主になる前は漁業が盛んだったこともあり、サウジアラビアも隣国のUAEも、多くの人が魚好きである」と教えていただきました。その後、UAEを訪れて現地ヒアリングした際にも「ラーメンは食べたことがない」との声を多く聞きました。

そこで私は『魚をベースにしたラーメンの新商品を、イスラム諸国に輸出し、多くのムスリムにハラールラーメンを食べてもらう』という新たな目標を打ち立てました。

弊社の主力商品である塩鯖の製造において、皮に少し傷があるだけで、どんなに立派でおいしい魚でも納品できません。加工の過程で廃棄部位も出てきます。これらを有効活用するため、原料となる魚は鯖と決めました。

しかし、鯖の鮮度は魚の中でも劣化が速く、その扱いが非常に難しいことで知られています。また食中毒を起こすヒスタミンが生成されないよう、細心の注意を払って開発を進めました。静岡県の水産・海洋技術研究所に協力を仰ぎ、共同して魚醤風にした「鯖エキス」の抽出を研究。商品に活用する方法を完成させることができました。

日本では、おいしいラーメンがたくさん販売されていますから、味の差別化を図るため、ムスリムが好むスパイシーな味付け、調味やうまみのバランスには、相当なこだわりを持って臨みました。シンガポールやドバイなどのスパイスマーケットへ実際に通い、魚に合うスパイスや調味料を探し、徹底的に研究を重ね、絶妙な味に仕上げることができたと自負しています。

ムスリムと交流するうちサウジアラビアやUAE、インドネシアを何度も訪れ、日本とイスラム諸国には、清潔を好む国民性や、魚をよく食べるという共通点があることが分かりました。品質管理が徹底されている日本の水産加工品は、ハラール市場、ムスリム市場と親和性が高いと思います。

鯖ラーメンは、「ムスリムの方においしい日本のラーメンを食べてほしい」という思いで開発した商品なので、ぜひ一人でも多くのムスリムに届けられるよう、輸出先も増やし、拡販していきたいですね。

<企業概要>
事業者名: 株式会社岩清
本社所在地:〒425-0022静岡県焼津市本町5丁目14-9
事業内容: 水産加工、卸、販売/冷凍冷蔵倉庫業/鮮魚買付/練り製品・寿司ねた等加工原料製造
公式サイト:株式会社岩清
ハラール鯖ラーメン詳細/岩清


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