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ハラール認証取得、日本伝統の乾麺を世界へ/東亜食品工業株式会社

日本で初めて、乾麺でハラール認証を取得した東亜食品工業株式会社。2014年に日本アジアハラール協会(NAHA)でハラール認証を取得するまでの経緯や、海外展開への思いを代表取締役社長の井上位一郎氏にうかがいました。

弊社は、兵庫県姫路市で1945年に創業した乾麺製造メーカーです。近辺の播州地区は、乾麺の生産量日本一を誇るエリア。江戸時代から播州素麺、手延べ素麺の生産地として名を馳せてきました。
弊社は厳選した原料を用い、昔ながらの作り方を取り入れ、手延べ素麺から派生した機械生産の素麺、うどん、そばなどの乾麺を製造しています。

私は2000年に2代目である父から会社を引き継いだ際、海外販路拡大の方向性を打ち出しました。日本は景気が後退しつつある一方で、世界人口は増加し続けており、マーケット開拓のチャンスはまだまだあると考えたのです。

兵庫県は食品製造業者が多く、神戸港が近いことから食品輸出も盛んな地域。弊社も約50年前から輸出に取り組んできました。父の代では輸出の中心は北米。私は輸出エリアを広げようと、中国、香港、シンガポールといった国々を視察して回りました。その時点で、既に日本の商品が数多く店頭に並んでおり、価格競争も始まっていたのです。
現地でヒアリングを重ねたところ、日本の麺を食べたことがない方が非常に多いことが分かりました。そして、シンガポールのムスリムから「食べてはみたいが、宗教の関係で食べられない」と聞き、初めてハラールという概念を知ったのです。
調査を進めると、イスラム諸国に向けた日本の食品は非常に少ないことが分かりました。

【播磨の里とろろそば/ぜいたく茶そば(国産)/特別栽培北海道小麦そうめん/白鷺城そうめん】

不安を感じながらの食事はおいしく感じません。ですから、ムスリムの方に安心しておいしく食べていただくため、ハラール認証を取得しようと決意しました。
しかし当時、日本でハラール認証は根付いておらず、前例がないため全てが手探りでした。

まずは、ムスリムが宗教をどのように位置づけているのかについて少しずつでも理解すべきだと考え、文献やセミナーで勉強しました。
そして分かったのが、彼らは宗教を生活の基にしており、神と共に人生を送っているということ。ハラームなものを避けることはムスリムにとって神との約束であり、絶対に軽んじてはならないと強く思いました。
弊社には、食品安全管理の世界規格であるISO22000やFSSC2200を取得しており、ルールを決めたら絶対に守るという土壌は既にあり、ハラールについても同様に真摯に取り組もうと決意したのです。

認証団体の選定には、非常に苦労しました。あちこちの団体から説明を聞きましたが、それぞれに見解が異なっていたからです。
そこでまず、アルコール消毒を承認してくれる認証団体に絞りました。アルコール消毒は工場清掃や手指の消毒法として、安全衛生上絶対に必要です。
その中で、最もハラール認証への取り組み方、考え方が弊社と近かったNAHAを選び、2014年に認証を取得しました。
乾麺自体はハラールのルールに抵触するものがありませんので、認証取得は非常にスムーズでした。

弊社は、北米を中心に30カ国以上に輸出実績を持っており、東南アジアでは、マレーシアやインドネシア、シンガポール、中東ではUAE、カタールなどでも弊社の乾麺を購入いただいています。
マレーシアには6年程前から輸出を開始しました。2019年の夏頃から売り上げが伸び始めており、現在は現地スーパーなどでも販売されています。2021年からドン・キホーテでの取り扱いを開始。売上は上々です。
今後マレーシア全土に広く展開させるため、現地系のルートで販路を拡大していきたいと考えています。

日本国内と比較すると、海外での売価は2.5~3倍程度になります。それでも、売価に見合う価値を認めていただけており、経済指標がさほど高くない国でも、販売数を伸ばすことができています。
最初の海外進出先である北米では、商品の魅力を伝えるためのデモンストレーションなどを数十年行ない、マーケットを広げていきました。
ここ数年はコロナ禍で中断していますが、マレーシアやインドネシアでも、同様に地道なPRを行なっていこうと考えています。

【ママの愛情もぐもぐそうめん/うどん/ラーメン】

日本のおいしい麺が食べたいと思った時にいつでも手に取れるよう、世界中に商品を展開していきたいと思っています。昨年、海外向けにパッケージを英語にした新規商品も開発しました。
現在、ハラール認証を取得した商品は50種程あり、国内でも認証マーク入りのものに順次更新しているところです。

【Matcha soba Noodles】

弊社では、ハラール認証のほか、コーシャ認証も取得しています。
世界には食事に制約を持つ方が多くいらっしゃいますので、商品を食べるにあたって障害があれば、可能な限りそれを取り除いていこうと考えています。

麺自体は基本的にハラールなものですが、麺を食べる時に使う麺つゆやスープがネックになります。弊社には調味料を作る設備がないため、ハラール醤油を製造している国内醤油メーカーに弊社専用のハラール麺つゆを作っていただきました。
また、乾麺は小麦粉を使用する商品が多いため、3年前からグルテンフリー麺の製造も開始しました。

【グルテンフリーラーメンヌードル/米粉うどん/米粉そうめん】【HALALめんつゆ】

世界中の方に安心しておいしく食べていただくためには、まだまだ課題もあります。今後も様々な取り組みを行なっていきたいと考えています。

<事業者概要>
事業者名:東亜食品工業株式会社
本社所在地:〒671-0231 兵庫県姫路市御国野町深志野759-3
事業内容:播州そうめん等乾麺全般、半なま中華麺全般、手打ちうどん(半なま・手打ち式)の製造・販売 並びに地元エリアにおける問屋業務、その他
公式サイト:東亜食品工業株式会社
オンラインショップ:東亜食品工業株式会社


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