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「着物ヒジャブ」日本製ムスリムファッション製造販売 合同会社WATASI JAPAN

福島県白河市でアパレル製品の製造・販売を手掛けている合同会社WATASI JAPAN。同社の主力製品は、日本で使われなくなった「着物」の再利用をおこない、イスラム教徒の女性向けに加工したヒジャブやアバヤです。

「着物ヒジャブ」誕生の原点となったのは、名和淳子 代表の大学時代に遡ります。
名和氏は、東京農業大学の国際農業開発学科で、熱帯果樹を専攻していました。
そして、ムスリムとの接点は、タイとの国境を臨む、マレーシア東海岸北部のクランタン州ジェリという町近くのジャングルで1年間、熱帯果樹の栽培をしていた頃に生まれました。

その後、大学卒業を経て、一般企業に就職。14年勤務し、出産・育児を機に、仕事を取るか、家庭を取るか迫られる事態に直面しました。当時の社会情勢もあり、企業側は「土日働けない人はパートへ…」という姿勢。キャリアアップを着実に進めてきた名和氏にとっては、大きな矛盾を感じながらも、退職を決断しました。

育児では多くのママ友と交流。名和氏は日常的なコミュニケーションを通じて、「ママ友の中に優秀な人財が埋もれてしまっていることに気付きました」「前職で人事を担当した経験から、自分だったらこのママさんを採用したいと思うような人物がたくさんいた」と、語ってくれました。
そう、知り合ったママ友の多くも皆、名和氏と同じような境遇で、キャリアを諦めけなければならなかったのです。
こうした現実に直面し、名和氏は「優秀な女性たちの能力を活かせるような会社を作りたい」と思うようになり、起業を目指したのです。

2015年、様々な「起業セミナー」の受講を経て、「どんなビジネスモデルにするのか?」思い悩んでいたところ、学生時代に経験したマレーシアでのジャングル生活がふと頭の中をよぎりました。
当時のクランタン州は、宗教色の強い地域だった事もあり、女性がヒジャブを被って出歩くのは当然のことでした。ヒジャブを商材として捉え、子育てをしている日本のママさんと一緒に生産できるのでは?と考えたのです。
早速、日本でイスラム市場向けにヒジャブを開発・生産している企業が無いかをリサーチ。併せて、世界的には想像を遥かに超える大きな潜在マーケットがあると気付いたのでした。
「この分野を掘り下げてみてはどうか…」と考えるようになった名和氏は、翌2016年2月にWATASI JAPANを法人登記しました。

社名にある「WATASI」は、日本語の3つの「わたし」に由来しています。

(1)私
「私」を大事にして欲しいという願いから、働くママさん自身を対象にしています。
子を持つ母は、家庭の中でいつも「自分は最後でいい」と考え、何事も子供を優先にした生活を送っています。
そこで名和氏は、「お母さんが笑顔だと、家の中にいる皆が笑顔になる」と考え、1つ目のWATASIをお母さんに当てはめています。
(2)「和」を足すに由来
(3)橋「渡し」に由来
最初に取り掛かった製品は意外にも「インナーヒジャブ」でした。その後、マレーシアでテスト販売したところ、「日本らしいものがいい」との声が多く寄せられ、着物の利用を思い描いたのです。

インドネシア/マレーシアでは、正装で使われている伝統的な「バティック」を保護するよう、両国の政府が主導して保護する取り組みがおこなわれています。
一方、日本では時代の移り変わりと共に、伝統的な衣装である着物を着る機会が減少。箪笥の中で放置され、使われなくなっています。
また着物は反幅が決まっていることや、他のファブリックと比べても加工時の取り扱いが難しく、別の製品への転用を進める際の課題となっていたのです。

しかし、着物には日本ならではの特徴と、伝統的なデザインが使われているので、それらを利用することで、世界中探しても他にない付加価値の高い製品が作れます。
例えば、結婚式で新郎新婦を送り出す母親が着る「黒留袖」の場合、その中でよく使われるデザインは「菊の花」です。菊の花には「巣立つ子どもが幸せになって欲しいと願う母の気持ち」が込められています。菊は昔から「薬」として使われていました。そのため、「長寿を願う」1つの象徴となっているのです。

名和氏によると、着物を使ってヒジャブやアバヤを製品化する際に、最も苦労するのは「着物の選別作業」。とりわけ「偶像崇拝」がご法度となっているイスラム教徒にとって、それに該当するようなデザインは使用できません。そのため細心の注意を払って対応しているのです。

「本当にいいデザインを使って製品化したい」
名和氏のこの想いは、これまでに何トン、もしかすると何百トンに 届くかもしれないくらいの着物を実際に手に取って選別してきたことからも分かります。
2020年代に入って本格化してきたトレンドキーワード「SDGs」。着物ヒジャブのようなアップサイクルを手掛けるのは、本当に労力が掛かります。古いものを新しくし、より魅力的な製品に変える必要があるためです。

そしてもう1つ、製品化の中で苦労するのが価格設定。
経済面で一時期のような勢いが無くなったとは言え、日本製品はまだまだ東南アジア諸国にとって高価なものが多いのです。原価を算出してみると、既にその時点で現地の販売想定価格を超えてしまっている…なんてこともよくあります。
更には、中国製をはじめとした廉価なヒジャブが既に市場を席巻しており、100円出せば新品のヒジャブが買えてしまうという現地ならではの事情もあります。
これらを踏まえ、どう差別化を図るのか?価格と言う最もシビアな問題をクリアさせることは、東南アジア進出を計画する多くの日本企業が抱える共通の課題です。

コロナ禍の世界的な広がりによって、日本におけるハラールツーリズムの観光客は壊滅状態となりました。それに伴い、観光客を対象にしていたこれまでの和服ヒジャブの売上は激減しています。またWATASI JAPANの着物ヒジャブを取り扱っていたホテル等も 閉鎖を余儀なくされました。

インバウンド回復の具体的な時期が見えない中で解決方法の1つとして越境ECでの現地進出が検討され、価格帯とターゲットの折り合い点を模索しているとのこと。日本に来れないムスリマへ、どのようなアプローチで製品を届けるのかが、目下の課題となっています。

日本の伝統的な着物が形を変えてムスリマの身に付ける衣装となる。新たに活用されることで再び表舞台に立つWATASI JAPANの着物ヒジャブは、これまで日本人女性の中で脈々と受け継がれてきた着物の存在感を残しつつ、ムスリマへ引き継ぎ橋渡ししています。



<企業概要>
会社名:合同会社WATASI JAPAN
本社所在地:〒961-0003 福島県白河市泉田池ノ上131-1pallet内
事業内容:日本製ムスリムファッションの開発・販売
公式サイト:WATASI JAPAN
WATASI JAPAN 公式Facebook
WATASI JAPAN 公式Instagram


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