「ハラール観光業は力強く回復」HalalBookingが2,000万ドル調達へ
ムスリムフレンドリーな旅行手配を提供する英国の旅行サイト「ハラールブッキング・ドットコム」が、経営安定期以降の収益拡大を狙ったシリーズB資金調達における投資を受けたと発表しました。
2021年3月にHalalBookingが投資を受けたのは、総額2,000万ドルのうちの、第1陣となる500万ドルです。
イスラム教徒(ムスリム)の信仰に対応する「ムスリムフレンドリー」な観光は、ビーチリゾートから家族向けのホテルやヴィラまで、世界的に見ると以前に増して広く浸透しています。イスラム協力機構(OIC: Organisation of Islamic Cooperation)加盟の各国政府機関が、観光収入の強化を計画しているため、マレーシア、インドネシア、トルコ、サウジアラビアなどでは観光分野の活性化に繋がっていると考えられています。
米調査会社ディナール・スタンダード(DinarStandard)の最新報告書「世界のイスラム経済の現状(State of the Global Islamic Economy Report)2019/20」によると、「ムスリムの旅行への支出は2018年には1,890億ドル。2024年には2,740億ドルに拡大する」と予測されており、未開拓の大きなチャンスがあることを示唆しています。
HalalBookingは、旅行会社や優良企業で上級管理職の経験を持つムスリムが集まり、「ハラールに配慮した旅行者のためのグローバルな検索サイトの実現」を掲げて2014年に創設。世界50カ国以上、83,000件以上のハラールフレンドリーなホテルやヴィラを検索・予約できる国際的な大手サイトとして展開しています。これまでに100ヶ国・20万人以上の顧客と2,000社以上の提携代理店・パートナーを抱えており、ハラール料理の有無、アルコールフリーの手配、女性専用や家族専用のプール、スパ、ビーチなど、ハラールニーズに応じてフィルタリングするサービスを提供していることが最大の特徴となっています。
2019年、HalalBookingは、権威ある「サンデー・タイムズ ヴァージン・アトランティック・ファースト・トラック100」において英国で33位、「フィナンシャル・タイムズ FT 1000」において欧州全体で237位にランクインし、旅行分野で英国1位、欧州8位の急成長企業として注目されています。
同社の業績は、パンデミック以前の数年は、年平均成長率(CAGR)70%に達しており、2020会計年度の第2四半期に大打撃を受けるも、第3四半期には完全回復。パンデミックの余波が残るものの、2021年4月・5月度の稼働は英国を中心に良好な業績を示しており、同社は「7月~8月には売上が倍増する」と試算しています。
CEOを務めるElnur Seyidli氏はプレスリリースの中で、「当社には強力なブランド力があり、パンデミックの期間もスタッフ全員の雇用を守り凌ぐことができ、その間に多くの新技術の開発もおこなえた」「旅行業界全体が2019年の水準に回復するには3~4年かかるかもしれないが、当社は『レジャー用途の宿泊』というニーズに応えており、旅行業界でも恵まれたポジションにいるため、第3・第4四半期には力強い回復を示せるずです」とポジティブ見解を語っています。
HalalBooking社は、「調達した資金は、2022年から24年にかけての飛躍的な成長を後押しし、2024年に10億ドルのIPOの達成に向けて使用される」としています。
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