ハラール認証取得のご当地グルメ「静岡おでん」/株式会社はの字食品
株式会社はの字食品は、創業100年を超える老舗の水産練製品メーカーです。地元のご当地グルメ「静岡おでん」でハラール認証を取得した経緯や、商品の特徴について、副社長の服部芙志乃氏にお話をうかがいました。
弊社は1921年に創業し、静岡県焼津市でイカ天、ごぼう天などのおでん種、練り製品を製造しています。県内のスーパーが主要取引先で、海外ではマレーシアのドン・キホーテやシンガポールでも販売しています。
焼津では、工場直営の自社店舗を構えており、揚げたての商品などを販売しています。ここ数年は、店頭まで買いに来て下さるムスリムの方も増えています。
県民のソウルフードである「静岡おでん」でハラール認証を取得しました。静岡おでんは、鯖や鰯を原料にした黒はんぺんや、牛スジで出汁を取った黒いスープが特徴で、青のりと鰹節の「だし粉」をかけて食べます。弊社の製品は、常温で1年間保存ができ、レンジ調理にも対応しています。
焼津は水産加工が盛んな地域です。工場で働く外国人も多く、ヒジャブ姿の女性もよく見かけます。多くの人に食べてほしいとおでんを作ってきましたが、一般的なおでんだとハラールではないため、ムスリムが食べられないと知りました。
そこで、日本に住んでいる、または旅行で訪れるムスリムの方々にもおいしい「静岡おでん」を食べてもらおうと、ハラール対応の商品開発を開始しました。
県に相談したところ、ハラール認証機関であるNPO法人「富士山から世界」を紹介いただきました。勉強会に参加してムスリム文化について学び、出汁に使うためのハラール牛肉も調達。認証取得に向け、豚肉を使った既存商品の製造を止め、無事認証を取得することができました。
静岡のムスリム協会や東北大学のムスリム留学生の皆様に、試食でご協力をいただきました。
最初はムスリムの方々が喜ぶようにと、スパイスを大量に入れた商品を作っていたのですが、本来の味とかけ離れてしまうことにジレンマを感じ、現在の形になりました。スパイスを別添するなど、今後も工夫を重ねていきたいと考えています。
試食していただいた中で、特にインドネシア、マレーシア、シンガポールの方々には、牛筋を使った甘い出汁が好評だったこともあり、是非これら3カ国には輸出をしたいと考えています。
その際には、おでんを食べた後に、出汁をご飯にかけて食べたり、スパイスを足して味変をするような提案も出してみようかと思います。
ちなみに、練製品は魚肉のすり身を主原料とし、高たんぱく・低カロリーでヘルシーな食べ物でもあるので、自信をもってお勧めできます。
練製品の原料であるスケソウダラは年々漁獲量が減っている一方で、海外での需要が増していることから入手が非常に難しくなってきています。
以前、インドネシアの白身魚を現地の水産加工業者に加工を依頼し、すり身を輸入する計画を立てたことがあります。しかしながら、日本のようなコールドチェーンが確立していないことから、鮮度管理が難しく断念した経緯があります。
安心で美味しい日本規格の練製品をお手頃な価格で提供したい。その想いは今も変わらず持ち続けています。いつかは現地調達・現地生産で製品作りができる体制を整えたいと考えています。
今後は、ムスリムの方々が好む新しい練り製品や、輸出にも対応できる常温保存のハラール商品を新たに開発したいと考えています。
<事業者概要>
事業者名:株式会社はの字食品
本社所在地:〒425-0087 静岡県焼津市保福島353-1
事業内容:魚肉練製品製造・販売
公式サイト/オンラインショップ:株式会社はの字食品
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