ハラール市場進出支援現場で考えた海外市場進出4タイプ
Salam Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
先日、ある中小企業とマレーシア進出を検討していました。その際に、中小企業にとって最適な海外進出方法について改めて考えさせられました。一般的な海外進出のイメージは、海外代理店による販売や現地法人での事業展開でしょう。しかしながら、企業ごとに製品や社内リソース等は異なるため、最適な海外進出方法の解は、1つではありません。
100%自社出資が理想的海外進出
理想的な海外進出は、自社による100%出資によって行うパターンです。100%自社資本であれば、現地法人の事業方針は自社だけで決めることができます。会社乗っ取り等のリスクを考慮する必要はありません。また、顧客情報を直接得ることができ、ニーズに合わせた事業方向の転換等も柔軟に行えます。
日本と変わらない初期投資
自社資本による海外進出はメリットが大きい一方で、多額の初期投資が必要となります。日本から自社製品を輸出して、自社店舗で販売することを考えてみましょう。現地製品と比較して高い製品価格だけでなく、日本からの輸送コストや関税等が掛かります。どうしても販売価格を高くせざるを得ません。その結果、高付加価値製品を購入できる顧客を集客できる場所で、それに見合った店舗を持たなければなりません。
マレーシアやインドネシア等のハラール市場進出費用が、日本に比較して非常に安いと考えている方も少なくないようです。もちろん進出方法を工夫して費用を抑えることは可能ですが、出店場所等によっては、日本と殆ど変わりません。
海外進出の4形態
海外進出どのように進めるかを検討するために、どこに事業主体を置くのか(日本or海外)と誰が販売するのか(自社or外部企業)の2軸から整理しました。
1.海外×自社
現地法人を設立し自社だけで進出を行う、あるいは、地元企業とJVを設立し事業を行う方法です。初期投資等の資金面だけでなく、社員を派遣する等の積極的コミットメントを行っていく必要があります。地元企業とのJVの場合には、誰を事業パートナーにするかによって、その後の事業展開が大きな影響を受けます。
2.海外×他社
現地代理店を指名して、その企業に商品を市場に提供してもらいます。日本側では、輸出作業と現地代理店管理、マーケティング支援等が必要です。初期投資や事業リスクを抑えられる一方で、マーケティングや販売方針に関しては、現地代理店の意向を無視できません。
3.日本×他社
商社や海外店舗を構えている日本企業に対して、日本で商品を提供します。国内ですべてが完結するため、リスクや手間を大きく抑えることが可能です。東南アジアに出店したドン・キホーテグループでは、海外店舗での販売商品を国内でも探しています。
4.日本×自社
自社で輸出部門や通販部門を持ち、海外バイヤーや顧客に直接販売します。事業全体を、自社だけで進めることができる事が大きなメリットです。一方で、顧客とのコミュニケーション、返品対応、代金回収等が課題となります。最近注目されている、越境EC等がこのタイプです。
海外市場進出成功のポイントは継続性
海外市場では、マーケット情報や顧客ニーズ等を把握することが、国内市場と比較して難しい場合が多いです。そのため、成功までに時間がかかることも少なくありません。1年半近くの現地マーケティング活動を行い、受注を目前にしながら力尽きてしまった企業を、目の当たりにしたことがあります。
現実の海外進出においては、社内資源等の何らかの制約の元で行わなければならないことがほとんどです。そのため、他社事例にとらわれず、自社商品と社内資源を冷静に分析し、最適な地域で現実的な長期プランを立案し、常に見直しながら継続していくことが、海外進出成功には必要であると実感しています。
Salam Groovy Japan運営会社のマレーシア法人JL Connect (M) SDN BHDのディレクターと、JAKIM戦略パートナー企業のコンサルタントを兼務。
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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