fbpx

マレーシアとインドネシア ハラール産業の方向性

Salam Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。

奇しくも2021年の夏、世界最大のハラール市場であるマレーシアとインドネシア政府は、ハラール産業において自国の中小企業の成長を加速するためのイニシアチブを発表しました。この動きは、今後の両国のハラール市場の方向性に大きく影響すると思われます。

MIHASで国内中小企業を表彰するセランゴール州の投資公社

さらに世界を目指すマレーシア

9月9日から開催しているMIHAS 2021(Malaysia International Halal Showcase)において、Halal Development Corporation(HDC)は、Halal Integrated Platform(HIP)というデジタルプラットフォームを発表しました。

これは、マレーシアの中小企業がこのサービスを活用して海外パートナーや顧客にアクセスし、グローバルハラール市場に進出することを促進するものです。最終的には、マレーシア中小企業のハラール認証取得を促進し、かれらの成長を促し、グローバル市場への輸出企業に成長させることを目的としています。

グローバルハラールハブ

マレーシア政府は、2008年からHalal Industry Development Master Planを実施しています。その目標は、マレーシアをグローバルハラール産業のハブに成長させることです。

その結果、ハラール認証を8000社以上の企業が取得し、そのうち20%が海外市場に商品を提供しています。また、Nestléを筆頭に、ハラール産業分野での外国のグローバル企業の誘致にも成功しています。

今後は、他国のハラール産業とより強く結びつき、グローバルハラールハブとして地位をより強固にする方向で、新たなイニシアチブを開始しています。

中小企業の成長にフォーカスするインドネシア

一方で、世界最大のムスリム人口を有するインドネシアは、ハラールビジネスでの中小企業の成長を加速するためのプログラムに着手しています。

イスラム経済金融委員会(KNEKS)は、中小企業の成長がイスラム経済開発の重点分野の一つであるとして、政府、大学、民間企業等の13の組織と連携して、ハラールリテラシートレーニング、デジタルバンキングサービス、輸出取引促進等28のプログラムを実行する予定です。

まずはリテラシーの向上

最初課題として、ハラール産業における中小企業の質を高めることに取り組みます。イスラムビジネス倫理、シャリーアに沿った富の管理、マーケティング、デジタル化、人材管理、運用管理と生産管理等の知識の拡大に努め、それに続いて具体的な産業振興を行っていくとしています。

方向性が異なるマレーシアとインドネシアのハラール市場

日本のハラール産業からみたマレーシアとインドネシアは、東南アジアの商品輸出市場やインバウンドの出発地として捉えられがちだと思います。しかしながら、両国ハラール市場特性は、経済発展、市場人口等によって異なっています。

マレーシアやインドネシアのパートナーとともに、両国の中小企業に対して、輸出を想定したプロモーション、マーケティング、商品改良等のアドバイスを行なっています。マレーシア商品の多くは、高品質化や高付加価値化が進んでいる商品も多く、そのまま輸出が可能な商品も多いです。一方でインドネシア商品は、まだまだローカル市場向けに特化した商品が多い印象を受けます。

このような両市場の商品特性の違いは、それぞれの市場でのビジネスチャンスも異なっていることを示唆していると考えています。マレーシアとインドネシアは、グローバルハラール市場でどのようなポジションを目指すのか?両国市場や政府の動きについて、今後も注目していきたいと思います。

参考

Malaysia launches ambitious platform to connect small halal businesses with the world
Indonesia starts program to accelerate growth of halal small businesses
Halal to the world: Malaysia’s HDC gearing up to proved consultancy to foreign governments
Halal Integrated platform

JL Connect Malaysia SDN BHD / ディレクター 橋本 哲史
Salam Groovy Japan運営会社のマレーシア法人JL Connect (M) SDN BHDのディレクターと、JAKIM戦略パートナー企業のコンサルタントを兼務。
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。

Salam Groovy JapanではSNSでもムスリム市場進出に役立つ情報を発信しています。
ぜひ、こちらからFacebookページへのいいね!やTwitterのフォローをお願いします。

Previous post 東京都がムスリム需要等の獲得を狙った各種支援策で事業者を募集
Next post 一人当たりの食料消費量はオマーンがGCC諸国でトップ