ハラール、ハラール認証、ムスリムフレンドリー…何が違うの?
Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
皆さんも、ハラール、ハラール認証、ムスリムフレンドリーという言葉をお聞きになったことがあると思います。ではこれらの違いはご存じでしょうか?この三つのコンセプトは、ハラール市場でのビジネスモデル構築において、非常に重要な概念となります。
ハラール、ハラール認証、ムスリムフレンドリーのコンセプト
ハラールとは
ハラールは、「神に許されたもの」を意味しています。ハラール市場進出支援をしていると、なぜ豚肉を禁止しているのかについて合理的理由を尋ねられることが良くあります。これは神からの預言ですので、それ以外の理由はありません。
ハラール認証とは
ハラール認証は、第三者の私的組織が商品のハラール性を認定する私的認証制度です。ある認証団体が、ハラールと考える基準を設定し、それをクリアした商品にハラール認証を付与します。グローバルスタンダードのハラール認証制度(例えばマレーシアのJAKIM)では、その基準が公開され、科学的証拠による審査と監査によって付与されます。
ムスリムフレンドリーとは
ムスリムフレンドリーは、商品提供者がムスリム消費者にアピールするために自ら呼称する場合が多いです。多くの場合、第三者による基準や監査を経ていません。そのため商品のハラール性の担保は、商品提供者の良心に掛かっています。
ハラール=ハラール認証ではない
「ここはハラルレストラン、と言いませんでしたか?」
遠藤晴美さん(仮名)は訪日した取引相手のムスリム(イスラム教徒)になじられた。来日したムスリムが最も困るのが食事と礼拝。遠藤さんは少しでも遠方からの客をもてなしたいと、ハラル認定マークの付いたレストランに案内した。だが隣の席に座った客がいきなりビールを飲み出したのだ。
「こんな店は信用できません」。そのムスリムは何も食することなく席を立った。
そのハラル、大丈夫?マーク発行団体が乱立 / 東洋経済ONLINE
このトラブルの原因は、ハラール認証レストランでビールが提供されていたという点です。私は、ハラールレストランで酒が提供されること許容するムスリムを知りません(ムスリムフレンドリーレストランなら許容する人もいるでしょう)。一方で、そのハラール認証が基準をクリアして付与されているのであれば、認証制度としては問題ありません。それを付与した認証団体も、ハラールとして問題ないと考えているのです。
ハラール、ハラール認証、ムスリムフレンドリーの理解はハラール市場ビジネスの基礎
この事例は、ハラール=ハラール認証ではない事を表しています。レストランオーナーは、ハラール市場参入にビジネスチャンスがあると考えて、あるハラール認証を取得したのでしょう。しかしながら、ハラールとハラール認証のコンセプトの違いを十分に理解していなかったために、ムスリム消費者から拒絶されてしまったのです。
ハラール、ハラール認証、ムスリムフレンドリーの理解は、ハラール市場でのビジネスモデル構築に非常に重要です。これからハラール市場に挑戦したいと考えている方は、これらの違いをしっかりとご理解ください。
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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