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日本製ハラール製品を世界に広めたい/日本アジアハラール協会

日本アジアハラール協会(NAHA)は、日本で最も知名度の高いハラール認証機関です。協会立ち上げの経緯や、日本製ハラール製品普及への思いについて、創設者で理事のサイード・アクター氏にうかがいました。

私はパキスタン出身で、26年前に来日しました。当時、日本では「ハラール食品」自体が認知されていなかったことと、日本語に不慣れであったことから、食事にはかなり苦労しました。もちろん、日本にも多くのハラールな食べ物があります。しかし、何なら食べて大丈夫なのか、よく分からなかったのです。その結果、体重は激減し、13Kgも痩せてしまいました。

自身の体験から、「ムスリムが安心して日本で食事できる環境を整えたい」と思うようになり、日本にもハラール認証機関が必要だと考えました。そこで、2013年に私はNAHAを立ち上げたのです。

協会設立当時は、ハラール認証制度自体の周知を図るため、セミナーやイベント活動に力を入れました。
NAHAが主催し、幕張メッセで開催した「JAPAN HALAL EXPO 2014」は、ハラール産業をテーマにした国内初の本格的な国際フォーラムとなりました。約30社が参加し、多くの日本製ハラール製品を展示しました。回を追うごとに参加社数を増し、2016年には100社を超えました。

ムスリムを対象とする市場規模は世界で推定300兆円にも達すると言われており、2030年までに1,000兆円に達するとの予測もあります。
一方、人口減少に転じた日本では、国内市場が年々縮小していくでしょう。NAHAは、ハラール産業の分野で、2025年までに国内GDPの2%を創出することを目標に掲げています。
そのためには、多くのメイドインジャパンのハラール製品を世界に展開させ、ブランドを確立させる必要があり、日本企業の1万社がハラール認証取得することを目指しています。
ハラール認証は、イスラム市場における「ビジネスのパスポート」です。ハラール認証制度について学び、ぜひ認証を取得してください。その先には大きな市場が広がっています。
NAHAは、無料の勉強会を開催するなど、日本企業のハラール市場進出を支援しています。

私は、日本製品の9割はハラールに転化できると考えています。日本製品の品質の高さは、世界が認めるところです。日本企業のハラール認証取得を促進させ、メイドインジャパンの素晴らしい製品をムスリム市場に広く流通させたいのです。

また、日本には世界遺産になった「和食」があります。海外旅行で、多くの方が楽しみにしているのが現地の食事でしょう。しかし、ほとんどの和食はハラール認証を取得していません。そのため、世界人口の25%を占めているムスリムは、旅の楽しみを奪われているのです。
おいしい寿司や刺身など、ハラールな和食はたくさんあります。私は、ハラールの啓蒙活動を通じて、和食を本当の世界遺産にしたいと考えています。

設立当初は、監査で基準を満たしてさえいれば、認証を発行してきました。しかし残念なことに、「ハラール認証を取ったけれど、売れないからやめる」という声を聞くこともしばしばありました。そこで、監査を行う前に、認証取得の必要性についてクライアントに寄り添いながら考えるようになりました。

クライアントは、ハラール認証の取得によって、多くの製品が売れることを望んでいます。しかし、認証によって自動的に製品が売れるわけではありません。販売ルートの確立は必須です。もちろん商品の魅力をアピールするためのプロモーションや営業活動も必要です。
現在、申請を受けた際には、ヒアリングの実施から始めるようにしています。販売先が決まっていない場合は、認証取得の前にハラール市場でのビジネス構築を行うよう助言しています。

世界には200近いハラール認証機関があると言われており、「どの認証を取ればいいのか?」という質問もよく寄せられます。ハラールとは、唯一神であるアッラーの教えに基づいています。そのため、ハラール性の担保はどの機関であっても同じなのです。
ですから、選択する上で重要となるのは「サービスの質」です。認証を取得した機関のサービスが悪ければ他で取り直せばよいだけですが、手間もお金もかかってしまいます。
私が最も避けたいと考えているのが、せっかく始めたハラール対応の取り組みを企業がやめてしまうことです。NAHAでは、お客様に喜んでいただけるよう、サービス精神をとても大切にしています。

当協会では、ハラール認証取得のプロセスを簡単で分かりやすくし、料金を抑えながら、質の高いサービスを提供しています。イスラム教、食品の専門家も多数在籍しています。
より多くの製品にハラール認証を発行することが目的なので、製品数が多くても料金は変わりません。認証取得製品に使われている材料を使い、同じ製造ラインで作られていれば、追加認証は無料です。材料や工場が変わった場合でも、低廉な料金で追加認証しています。

留学生時代に食べ物に苦労したこともあり、大学の食堂は無料で監査・認証を発行しています。同様に国の機関も無料で対応しています。遠方の場合を除いて、交通費もいただきません。

イスラム教徒ではない日本人にとっては、ハラール認証やイスラム教について分からないことがたくさんあるでしょう。
ISOなどの規格と混同されることも多く、過去には「酒」や「便器」を対象製品として「ハラール認証を取得したい」という問い合せもありました。ご存知の通り、酒はハラームですから認証取得などあり得ません。一方のトイレは、そもそもハラール性を問われませんので、取得する必要性がありません。こうした問い合わせにも丁寧にお答えしています。

日本企業には、ハラール認証を「宗教」ではなく、ビジネスにおける「インフラ」として捉えてほしいと考えています。「製品を誰に売るのか?」を考え、その上で必要なら、ぜひハラール認証を取得してください。

<事業者概要>
事業者名:NPO法人日本アジアハラール協会
所在地:〒260-0044 千葉県千葉市中央区松波2-6-2 CICCビル5F
事業内容:ハラール認証発行
公式サイト:NPO法人日本アジアハラール協会

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